おひとり様安心設計第5回|今日から始める「デジタル情報の片づけ」
──まずは3つだけやれば安心できる実践ステップ
デジタル遺品の全体像を知ると、
「これは一人では無理なのでは…?」と不安になる方が多いものです。
でも大丈夫。まずは3つのことだけやれば、安心の7割は整います。
行政書士として実務に携わっていても、
この3つができていれば、ご家族や受任者が“困らない体制”が整います。
【ステップ1】スマホのロック情報をひとつにまとめる
デジタル遺品で最も問題になるのは、
スマホが開かないこと。
銀行、証券、メール、写真、サブスク、ポイント…。
すべての入口がスマホだからです。
■ 今日やること(5分でOK)
- スマホのロック番号を書き残す(紙・メモ帳アプリ・封筒など)
- Apple ID(iPhone)またはGoogleアカウントを確認してメモ
- 2段階認証のコードの受信先(SMS/メール)を書いておく
スマホが開けば、ほぼ全ての情報にアクセスできる。
これだけで安心度が大きく上がります。
【ステップ2】毎月お金が出ていく“契約”を洗い出す
「知らないうちに続いている契約」が、最も大きなトラブル原因です。
■ まずは3つの領域だけ確認
- 通信(スマホ・Wi-Fi・クラウド)
- 動画・音楽・電子書籍などのサブスク
- 公共料金のオンライン請求
■ 今日やること(10〜15分)
- スマホの「サブスクリプション」画面を確認
- Amazonの「定期便」「Prime会員情報」を見る
- クレジットカードアプリの利用明細を確認
メモするのはサービス名と月額の2つだけでOK。
これだけで、ご本人にも受任者にも“契約の全体像”が分かります。
【ステップ3】写真・重要データの“バックアップ場所”を決める
スマホの中には、取り戻せない思い出や生活記録が詰まっています。
どんなに頑張っても、写真だけは作り直せない。
■ 今日やること(15〜20分)
- iCloud/Googleフォトのバックアップ状況を確認
- 「残したい」「見られたくない」を軽く仕分け
- USBメモリや外付けHDに1フォルダだけ保存
完璧な整理をしなくても大丈夫。
“バックアップがある”というだけで、安心感は全く違います。
■ 行政書士として感じる「この3つの強さ」
実務で死後事務・任意後見に関わっていると、
この3つが揃っている方は本当にスムーズです。
- スマホが開く
- 契約の全体像が書かれている
- 写真やデータにアクセスできる
これは、ご本人の人生が「ていねいに扱われる」ことに直結します。
元気なうちの小さな準備は、未来の自分への最大の贈り物です。
【まとめ】今日からできる3つの安心ステップ
- スマホのロック・IDを書き残す
- 毎月の契約を3つだけ洗い出す
- 写真データを1か所にバックアップする
難しいことをしなくても、
この3つだけで「おひとりさまの不安」は大きく軽くなります。
■ 次回の予告
第6回は、いよいよ信頼できる人に任せる仕組みへ。
死後事務委任契約・任意後見契約・生前契約など、
「誰に」「どこまで」を明確にするステップに進みます。