2025/12/7

おひとり様安心設計第4回|ここまで広い!デジタル遺品という“見えない世界”を整理する ──スマホ・銀行・サブスク・SNS…全体像を行政書士が解説

第4回|ここまで広い!デジタル遺品という“見えない世界”を整理する
──スマホ・銀行・サブスク・SNS…全体像を行政書士が解説

前回(第3回)では、デジタル遺品という言葉を“身近な生活情報”として捉え直し、
「これは元気なうちの暮らしをラクにする整理です」とお伝えしました。

今回はいよいよ、デジタル遺品の全体像が“ひと目でわかる”回です。
スマホ・銀行・契約・SNS・写真……私たちの日常の大半は「見えない情報」で構成されています。
まずはその種類を知ることから安心が始まります。


【Ⅰ】デジタル遺品は3つの大きなグループに分かれる

① お金・財産に関するデジタル情報

  • ネット銀行(楽天銀行/住信SBI/PayPay銀行など)
    ログインしないと残高が確認できないケースが多くなりました。
  • 証券会社(SBI証券/楽天証券/NISA・iDeCo など)
    気づかれにくく、放置されるリスクが高い分野です。
  • クレジットカード・電子マネー
    紙の明細書がなく、Web配信が主流。PayPayやSuicaなど“残高=財産”であるものも含まれます。
  • ポイント(楽天/dポイント/Tポイント など)
    相続の対象外になりやすく、放置すると失効する可能性があります。

② 毎月引き落とされる“生活契約”

  • 通信関連(スマホ・Wi-Fi・クラウド容量)
    docomo/au/SoftBank、iCloud、Google One など。
  • サブスクリプション(動画・音楽・電子書籍)
    Netflix、Amazon Prime、Spotify、Kindleなど、
    「気づかないまま課金」が最も多い領域です。
  • 公共料金のオンライン化
    電気・ガス・水道・NHKがメール配信になると、家族が把握できません。
  • オンライン講座・健康アプリ
    小さな課金でも月額の積み重なりは大きくなります。

③ 個人的な記録・思い出・人間関係の情報

  • SNS(LINE/Instagram/Facebook/Xなど)
    連絡先・写真・メッセージが詰まっており、最も個人的な領域です。
  • メール(Gmail/Yahooメール/キャリアメール)
    通知とパスワード再発行の入口となる重要情報。
  • 写真・動画(Googleフォト/iCloud)
    取り戻せない人生の記録。その価値は非常に大きい。
  • 趣味・創作データ(楽譜・音源・ブログ等)
    本人にしか分からない価値ある記録が多いため、放置されると消失しやすい領域です。

【Ⅱ】スマホが“金庫の鍵”となる理由

スマホが開かないと何も始まらない。
デジタル遺品の最大の問題点はここにあります。

  • ロック番号
  • 指紋・顔認証
  • Apple ID/Googleアカウント
  • 2段階認証のSMS

これらはすべて本人にしか分からない情報です。
スマホが開かなければ、資産管理も契約解約も写真データの確認もできません。


【Ⅲ】なぜこんなに複雑なのか?

  • 契約がメール通知だけで完結する
  • ID・パスワードが乱立している
  • 毎月の支払いが自動更新される
  • 本人だけが把握している契約が多い
  • スマホが“第二の家財道具”になっている

しかし、種類と構造を理解すれば、
「私にも整理できる」という手ごたえが生まれます。


■ 次回(第5回)の予告

今日からできる「3つの整理ステップ」をご紹介します。

  • スマホロック・IDの管理
  • 毎月の契約の洗い出し
  • 写真データのバックアップ

ここまでできれば、おひとりさまの不安の大半は軽くなります。
次回はいよいよ“実践編”です。