2025/12/4

おひとり様安心設計 第3回──元気なうちに“未来の段取り”を整えるやさしい生前整理

おひとり様安心設計 第3回──元気なうちに“未来の段取り”を整えるやさしい生前整理

「死後事務」と聞くと、どこか寂しさや重さを感じる方が多いかもしれません。しかし本来の死後事務とは、“亡くなった後のための準備”ではなく、“今の安心をつくるための生前整理”です。

今回は、死後事務委任契約の前段として、まずは「元気なうちに整える生前整理」について、やさしく整理します。


■ 1.「死後事務」という言葉の硬さをほぐす

死後事務とは、亡くなった後に必ず発生する事務手続きのことです。とはいえその準備は亡くなる直前にするものではなく、むしろ今の暮らしを軽くするための段取りです。

言い換えるなら、ラストステージの段取り、人生の後片づけサポート、エンディング・デザインなど、前向きな生前整理として捉えられます。


■ 2.なぜ「元気なうちの整理」で安心につながるのか

死後には必ず誰かが事務手続きを行います。役所届出・金融機関の手続き・家財整理・連絡先の確認など、どれも負担の大きいものです。

しかし、ほんの少しのメモがあるだけで手続きは驚くほどスムーズになり、本人の希望も反映されます。


■ 3.元気なうちに整えるべき「未来の段取り」チェックリスト

  • 行政手続き:マイナンバーカード、保険証、重要書類の所在
  • 金融関係:銀行・証券・保険のリスト、毎月の引落し
  • 自宅:残したい物、処分したい物、ペットのこと
  • 人間関係:緊急連絡先、知らせてほしい人
  • 葬送の希望:葬儀、納骨、宗教的配慮
  • デジタル関係:スマホロックのヒント、SNSの扱い

すべてを完璧にする必要はありません。書けるところだけで十分です。


■ 4.死後事務委任契約は“未来を軽くする道具”

死後事務委任契約があると、役所届出、公共料金の解約、葬送の実務、遺品整理などが法的根拠に基づいて確実に行えます。

任意後見・生前代理契約と組み合わせることで、“今 → 判断能力低下 → 死後”まで一貫して備える設計が可能になります。


■ おわりに

終わりを整えることは、今を軽くすること。たとえ一つでも項目を整理すれば、未来の不安は驚くほど減ります。

次回は、おひとり様に特に重要な「デジタル遺品」をわかりやすく解説します。