2025/11/13

第4回:“孤独”を狙う──SNS・マッチング・交流詐欺の実態

第4回:“孤独”を狙う──SNS・マッチング・交流詐欺の実態

「趣味が同じですね」「日本文化に興味があります」──そんな何気ないメッセージから始まり、少しずつ心の距離を詰めてくる相手。
SNSやマッチングアプリを通じて信頼を得たのち、恋愛や友情を装って金銭をだまし取る“ロマンス詐欺”が急増しています。

■“出会い”が“罠”になる瞬間

消費者庁によると、SNSや出会い系アプリを通じた投資・恋愛詐欺の相談件数は近年急増し、被害金額は1件あたり数百万円にのぼることも。([消費者庁:消費者白書2024](https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2024/))
「病気の家族を助けたい」「一緒に投資をしよう」「海外で困っている」など、感情に訴えるストーリーを作り、被害者を孤立させていきます。

■よくある手口

  • 共通の趣味や話題で接近し、長期的なやり取りを続けて信頼を築く。
  • 「内緒の投資」や「困っている家族」など、秘密を共有させて心理的に支配する。
  • 写真や身分証の提示を求め、個人情報を取得して脅迫に発展するケースも。

■なぜ“孤独”が狙われるのか

詐欺師たちは、「孤独」そのものを商品価値として見ています。
「誰かに必要とされたい」「理解してほしい」という人の自然な感情を利用するのです。
警察庁によれば、こうした被害の約7割は「誰にも相談できなかった」ことが背景にあります。([警察庁 特殊詐欺対策](https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/senior/romancefraud.html))

■支える側・家族にできること

  1. オンライン交流を頭ごなしに否定しない。
    「危ないからやめなさい」と言うと、被害者が隠してしまう傾向があります。
  2. やり取りを共有する。
    「写真を見せて」「どんな話をしているの?」と自然に関心を示すだけでも、防止効果があります。
  3. “お金”や“秘密”が出たら要注意。
    「誰にも言わないで」と言われたら、すぐに相談を。

■相談先

  • 消費者ホットライン:188(いやや!)
  • 警察相談専用ダイヤル:#9110
  • 地域の消費生活センター・行政窓口

■行政書士としての視点

詐欺の被害は、契約書や送金記録だけでは見えません。
本質は「信頼を奪われること」にあります。
行政書士として感じるのは、“書類を作る前に話を聞く”関係の大切さ。
制度の前に、人とのつながりこそ最大の防御です。

次回(最終回)は、「守り合う社会へ──だまされないためにできること」をお届けします。

 
出典・参考資料
消費者庁:消費者白書・高齢者トラブル対策・注意喚起情報 等
国民生活センター:SNS詐欺・ロマンス詐欺関連事例
警察庁:特殊詐欺統計・防犯情報・相談窓口 (#9110) 関連資料
内閣府 高齢社会白書:高齢者の生活実態・特殊詐欺被害の動向
総務省:防災・防犯・ICT安全利用に関する啓発資料
消防庁:点検商法・消防用設備を装う詐欺等に関する注意喚起

※ 本シリーズの記事内容は、上記行政庁・公的機関の公表資料に基づき執筆しています。
※ 統計・制度・注意喚起の引用は最新公開データ(2023~2024年度)を参照しています。