2025/11/11

第 2回“親切そうな人”ほど危ない──訪問販売・電話勧誘の裏側

第2回:“親切そうな人”ほど危ない──訪問販売・電話勧誘の裏側

「無料点検に参りました」「お近くで工事があったので見せに来ました」――。 こうした一声で、つい玄関ドアを開けてしまうことはありませんか? “点検”“交換”“訪問”という言葉は、安心感を醸し出しますが、実は高齢期を迎えるご自身や大切な人を狙う悪質商法の入口になることが多くあります。

■なぜ“親切そうな人”が近づいてくるのか

実際、 消費者庁 の調査では、訪問・電話勧誘販売における高齢者の相談割合が非常に高く、2022年では「訪問購入」で6割以上、「訪問販売」でも5割弱が高齢者(65歳以上)だったことが報告されています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1} 高齢期には「家にいる時間が長い」「誰かの言葉を頼りにしたくなる」「判断にためらいが出る」などの状況が重なり、“親切/点検/ただ”という言葉をきっかけに、契約を促されやすくなるのです。

■典型的な被害の手口

  • 点検商法:「火災警報器/給湯器/屋根瓦を無料で点検します」という訪問から、不要な交換・作業契約へつながる。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
  • 電話による勧誘:「今回だけ特別価格です」「近隣の方も契約しています」と不安をあおる電話/訪問。高齢者を狙った例が多く報告されています。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}
  • その場で契約を迫る:「これをやらなければ近所に迷惑が…」「すぐ手続きしないと…」という急かし文句で、その場でサイン/支払いを行わせる。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}

■支える側・見守る側としてできること

契約当事者(ご本人)だけでなく、家族・地域・支える人の“気づき”が重要です。以下のチェックリストを日常に取り入れてください。

  1. 「その場で決めない」。
    たとえ点検が無料でも、契約書や見積もりが出るなら一旦保留して「家族・専門家に相談します」と伝えましょう。
  2. 「その人/その会社を調べる」。
    名刺・会社名・契約書の有無・公的機関の確認を行う。「消防署が直接販売することはありません」などの警告もあります。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
  3. 「相談先を一緒に探す」。
    例えば、地域の消費生活センター、役所の高齢者支援窓口、行政書士など“誰に相談すればよいか”をあらかじめ知っておくことが防御になります。

■行政書士としてのメッセージ

契約書を交わすという“形式”だけを守るのではなく、 「この人に相談できるか?」「家族・地域と話ができるか?」までを含めた安心設計こそが、これからの時代に求められる守り方です。 “親切そうな人”が訪ねてきたとき、まず立ち止まって、誰かに声をかけてください。あなたが支える人であるなら、先手でその声をかけてあげましょう。

※ 次回、第 3回では「電話一本で資産が消える──還付金詐欺・AI音声の新手口」を取り上げます。

 
出典・参考資料
消費者庁 公式サイト
警察庁 特殊詐欺関連統計
内閣府 高齢社会白書
総務省 安心安全なICT利用に関する情報
※ 記事内の統計・引用データはいずれも各行政庁の公表資料に基づき作成しています。