2025/11/10

第1回:知らぬ間に狙われる──高齢者を襲う“魔の手”の正体

第1回:知らぬ間に狙われる──高齢者を襲う“魔の手”の正体

いつの間にか、家の電話に不審な案内が来ていませんか? 「○○省からの返金です」「点検だけだから」――。 こうした一見「親切な訪問」「ちょっとしたサービス」が、実は“魔の手”となり得ると知っておくことが、高齢者にとって最大の防御になります。

■なぜ“高齢者”がターゲットにされるのか

行政の資料によれば、高齢者(65歳以上)は消費者トラブルにおいて“お金”“健康”“孤独”という三つの不安を抱えやすく、悪質事業者から狙われやすい状況にあります。 :contentReference[oaicite:2]{index=2} また、特殊詐欺において65歳以上の被害認知件数は、2022年度で1万5,065件、全被害に占める割合が86.6%に上るという報告もあります。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}

■典型的な被害の手口

  • 還付金詐欺:税金や保険料の「返金がある」と言って振込口座を案内するタイプ。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}
  • 訪問販売・点検商法:「無料点検」「機器交換が必要」などと言って自宅に入り、契約を促すタイプ。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
  • 名簿商法・健康食品商法:孤立気味の高齢者に“お付き合い”“割引”などの甘い誘いをかけるタイプ。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}

■被害を防ぐために今、できること

行政書士という立場から、私が強く伝えたいのは次の三つです。

  1. 「その場で決めない」。
    訪問・電話・ネットで契約を急かされても、「一晩考えます」と言って時間を取ることが有効です。
  2. 「誰かに相談する」。
    家族・友人・専門家・行政に“この案内は大丈夫か”と一声かける習慣を持ちましょう。相談するだけで被害を防げた事例は多くあります。
  3. 「信頼できる人・組織とつながる」。
    地域の支え合い、福祉・消費者相談窓口・行政書士など“頼れるネットワーク”を日頃から意識することが、最大の安心設計になります。例えば、消費者庁は「消費者安全確保地域協議会」による高齢者支援ネットワーク構築を促しています。 :contentReference[oaicite:7]{index=7}

■行政書士としてのメッセージ

契約を“紙で守る”のが私たちの仕事だと思われがちですが、実は「誰に相談できるか」「誰とつながっているか」が、安心をつくる根本です。 このシリーズでは、このあと「信頼できる人とつながる方法」「孤独を狙う新たな手口」なども扱っていきます。どうぞご一緒に“魔の手”から自分らしい暮らしを守っていきましょう。

※ 次回以降、出典・参考資料を明記しながら、具体的な事例・対策を掘り下げてまいります。

 
出典・参考資料
消費者庁:消費者白書・高齢者トラブル対策・注意喚起情報 等
国民生活センター:最新の消費者被害事例・見守り情報
警察庁:特殊詐欺統計・防犯情報・相談窓口 (#9110) 関連資料
内閣府 高齢社会白書:高齢者の生活実態・特殊詐欺被害の動向
総務省:防災・防犯・ICT安全利用に関する啓発資料
消防庁:点検商法・消防用設備を装う詐欺等に関する注意喚起

※ 本シリーズの記事内容は、上記行政庁・公的機関の公表資料に基づき執筆しています。
※ 統計・制度・注意喚起の引用は最新公開データ(2023~2024年度)を参照しています。