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2026/7/21
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薫子の法律のたりのたり 第7回「小公女セーラ」/ セーラのおとっつあん、そこはちゃんとしておいてください |
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セーラのおとっつあん、そこはちゃんとしておいてください『小公女セーラ』。 個人的に、大好きな作品です。 主題歌もよかった。エンディングもよかった。 今でも歌うと、途中で泣いてしまいそうになります。 アニメになる以前に、「少年少女文学全集」で原作も読了していました。幼い私は、本当にドキドキしながら最後まで読みました。 だから、アニメでは結末を知っていたはずなのです。 それでも毎回、ハラハラしながら見ていました。 ちなみに、再放送のテレビアニメ版を夢中になって見ていた頃の私は、ちょうど司法試験に挑戦していた時期でした。 つまり、だいたい三十路。 わはは。 三十路の司法試験受験生をも夢中にさせるのですから、やはり年代を超えて人を魅了する、素晴らしい物語です。 ところが、どうしても気になることがありました。 ミンチン先生のセーラへの仕打ちも、もちろん釈然としません。 しかし、それ以上に言いたかった。 「セーラのおとっつあん! なんでもっと、ちゃんとしておいてくれなかったのじゃー!」 セーラのお父さんは、娘を深く愛していました。 娘に最高の教育を受けさせたい。何不自由なく暮らしてほしい。 その気持ちに、疑いはありません。 けれども、自分に万一のことがあったとき、幼い娘を誰が守るのか。 財産の状況を誰が確認するのか。 学校や周囲の大人に、誰が事情を説明するのか。 娘の生活と財産を、誰が責任を持って支えるのか。 そこまでの道筋は、十分に用意されていませんでした。 今の日本なら、どうするべきだったのかでは、これが今の日本の話だったら、セーラのお父さんはどうするべきだったのでしょう。 まずは、娘に何を残すのかを、はっきり書いた遺言を作る。 できれば、内容や形式について公証人の確認を受ける公正証書遺言にして、紛失したり、発見されなかったりしない形で残しておく。 そして、その遺言の内容を実現するために動いてくれる「遺言執行者」を決めておく。 さらに、自分が最後の親権者なら、遺言で、幼い娘を支える未成年後見人を指定することも考える。 ――と、法律の仕組みとしてはいろいろあります。 けれども、たぶん大切なのは、遺言書を一枚書いて終わりではありません。 財産の一覧。 仕事や投資の状況。 信頼できる人の連絡先。 娘の生活を託せる人。 その人がすぐに動けるようにするための情報と準備。 つまり、セーラのお父さんに必要だったのは、財産を残すことだけではなく、自分がいなくなった後も、娘を守る仕組みを残すことだったのだと思います。 人は、自分が明日いなくなるとは、なかなか考えられません。 特に、元気に働き、これから財産を増やそうとしているときには。 けれども、守りたい人がいるなら、その人への思いを、自分の頭の中だけに置いておいてはいけない。 思いは、言葉にする。 言葉は、書面にする。 そして、その書面を実際に動かしてくれる人につなぐ。 遺言は、財産の分け方を書くためだけのものではありません。 残される人が、突然ひとりで世の中に放り出されないための、道しるべでもあるのです。 ですから、今でも『小公女セーラ』を見ると、私はきっと同じことを思います。 セーラのおとっつあん。 娘をあれほど大切に思っていたのなら――。 そこは、もう少しちゃんとしておいてください。 薫子法律 のたりのたり アニメと映画と人生と、ときどき法律。 ※アニメや映画の世界と現実の法律は少し違います。本コラムは作品を楽しみながら法律を身近に感じていただくための読み物です。実際の法的判断は個別の事情によって異なります。 |
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