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2026/6/15
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薫子法律 のたりのたり 第6回 海のトリトンにパスポートは必要か? |
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薫子法律 のたりのたり第6回 海のトリトンにパスポートは必要か?私が子どもの頃、テレビには不思議な少年がいました。 海の中を自由に泳ぎ、 イルカたちと会話し、 七つの海を旅する。宿敵ポセイドン族と闘いながら。 その名はトリトン。 今の若い世代にはあまり知られていないかもしれませんが、私たちの世代には忘れられない作品です。 もっとも、子どもの頃の私は、 彼のイケメンぷりに魅了されていました。
ところが行政書士になった今、ふと気になることがあります。 「トリトン、パスポートを持ってないよね。」 トリトンは世界中の海を自由に移動します。 地中海。 大西洋。 太平洋。 どこへでも現れます。 もちろん入国審査はありません。 ビザもありません。 パスポートも見たことがありません。 もし現代の人間が同じことをすれば大変です。 空港で止められます。 船でも止められます。 場合によっては不法入国の問題になります。 ところが、ここで大きな疑問が出てきます。 そもそもトリトンは何者なのでしょうか。 物語によれば、トリトンは5000年前に滅ぼされたアトランティス大陸の末裔とされています。
言葉を話し、 考え、 愛し、 怒り、 悲しみます。 私たちと同じように悩み、成長していきます。 では法律はトリトンを「人間」「国民」「市民」として扱うのでしょうか。 それとも別の存在なのでしょうか。 彼は深海の中でも呼吸が可能です。 法律というものは、基本的に人間社会のために作られています。 人間が生活し、 働き、 財産を持ち、 家族を作る。 そのためのルールです。 だから法律を学べば学ぶほど、 逆に不思議なことが見えてきます。 人間とはちがう存在が現れたらどうなるのだろう、と。 宇宙人が現れたら。 AIが人格を持ったら。 イルカが人間と同じ知能を持ったら。 そして海のトリトンがいたら。 法律はどこまで適用できるのでしょうか。 もっとも、私はこうも思います。 もし本当にトリトンに出会ったら、 私たちはまずパスポートの有無など聞かないでしょう。 「あなたは誰ですか」 まずそう尋ねると思います。 法律家としては、 国籍はあるのか。 戸籍はどうするのか。 住民票は作れるのか。 そんなことも気になります。 しかし人としては、 もっと先に知りたいことがあります。 どこから来たのか。 何を大切にしているのか。 なぜ旅をしているのか。 相談の仕事も少し似ています。 制度から入るのではなく、 まず人を見る。 肩書ではなく、 その人自身を見る。 私は長年、人の相談に関わる仕事をしてきました。 行政書士としても、 キャリアコンサルタントとしても。 その中で感じるのは、 人は案外、自分のことを説明するのが難しいということです。 会社員。 主婦。 経営者。 行政書士。 そんな肩書はあっても、 本当の意味で 「私は何者なのか」 という問いは簡単ではありません。 海のトリトンは何者だったのでしょう。 アトランティスの末裔。 海の戦士。 あるいは、ただ一人の少年。 正解は一つではないのかもしれません。 だから私は、 パスポートの話から始まりながら、 最後は別のことを考えてしまいます。 人は誰でも、 人生のどこかで自分に問いかけます。 「私は何者なのだろう」 と。 トリトンは海を旅しました。 私たちは人生を旅しています。 その違いは、案外小さいのかもしれません。 薫子法律 のたりのたり アニメと映画と人生と、ときどき法律。 ※アニメや映画の世界と現実の法律は少し違います。本コラムは作品を楽しみながら法律を身近に感じていただくための読み物です。実際の法的判断は個別の事情によって異なります。 |
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