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2026/5/15
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薫子法律 のたりのたり 第4回 ハイジのおばさんは誘拐犯なのか? |
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薫子法律 のたりのたり第4回 ハイジのおばさんは誘拐犯なのか?子どもの頃には気にならなかったのに、大人になって見返すと妙に気になる場面があります。 私にとって、そのひとつが『アルプスの少女ハイジ』です。 もっとも、私がこの作品を見ていた頃は、ハイジに感情移入する年齢でした。 アルプスの自然。 ヤギのユキちゃん。 ペーター。 おんじ。 再放送を何度も何度も楽しみに見ていた記憶があります。 ところが今の私は行政書士です。 つい職業病が出てしまいます。 ある日、ふと思ったのです。 「あれ?おばさん、勝手にハイジを連れて行ってない?」 もし現代日本で同じことが起きたら、どうなるのでしょうか。 ハイジは祖父であるアルムおんじと暮らしています。 そこへ久しぶりに現れるのが、おばのデーテです。 デーテは、 「ハイジに教育を受けさせたい」 「都会で暮らした方が将来のためになる」 と考え、フランクフルトへ連れて行きます。 おんじはあまり納得していないようにも見えます。 汽車に乗る。乗ってからもう帰れないことを知って大泣きします。ハイジは騙されたのです。
そこで気になるのが法律です。 もし現代日本で、保護者の意思に反して未成年者を連れ去ったらどうなるのでしょうか。 刑法には「未成年者略取・誘拐」という犯罪があります。 簡単に言えば、 保護者の監護権を侵害して未成年者を連れ去る行為です。 タイトルだけを見ると、 「やっぱりデーテは誘拐犯では?」 と思うかもしれません。 ところが話はそんなに単純ではありません。 まず問題になるのは、 「ハイジの保護者は誰なのか」 です。 現在の日本であれば、 親権者が誰なのか、 未成年後見人が選任されているのか、 さまざまな事情が確認されます。 しかし物語の舞台は19世紀のスイス。 しかも詳しい法的事情は描かれていません。 おんじが正式な保護者だったのか。 デーテに監護する立場があったのか。 実はよく分からないのです。 さらにデーテには悪意がありません。 財産目当てでもありません。 身代金目的でもありません。 むしろ、 「ハイジのためになる」 と本気で信じています。 だからこそ、この物語は面白いのです。 相談の現場でも、 誰かが悪人というケースばかりではありません。 親のためを思う子ども。 子どものためを思う親。 本人のためを思う親族。 みんな善意です。 ところが、 「何が本人の幸せなのか」 について意見が分かれることがあります。 デーテは都会で教育を受けることが幸せだと思いました。 おんじは自然の中で自由に育つことが幸せだと思っていました。 どちらもハイジを思っています。 だから難しいのです。 結局、ハイジはアルプスへ戻ります。 物語としては感動的な場面です。 現代の法律は、以前よりも本人の意思を重視する方向へ進んでいます。 子どもであっても。 高齢者であっても。 障害のある方であっても。 まず本人の声を聴こうという考え方です。 私はそれをとても大切なことだと思っています。 おばのデーテは誘拐犯だったのでしょうか。 おそらく違うでしょう。 少なくとも、ハイジを不幸にしようとは考えていませんでした。 ただ、 「本人のため」 という言葉は時として難しい。 本当に本人のためになっているのか。 それとも周囲の価値観を押し付けているだけなのか。 私は仕事の中で、 「本人のためだから」 という言葉を耳にすることがあります。 そんな時わたしは考えます。 本人はどう思っているのだろう、と。 ハイジを思い返しながら、 そんなことを考える年齢になりました。 薫子法律 のたりのたり アニメと映画と人生と、ときどき法律。 ※アニメや映画の世界と現実の法律は少し違います。本コラムは作品を楽しみながら法律を身近に感じていただくための読み物です。実際の法的判断は個別の事情によって異なります。 |
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