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2026/4/15
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薫子法律 のたりのたり 第2回 もしもトラさんが任意後見契約を結んだら |
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薫子法律 のたりのたり第2回 もしもトラさんが任意後見契約を結んだら私が子どもの頃、お正月やお盆になると必ずと言っていいほどテレビで放送されていた映画があります。 『男はつらいよ』です。 主人公のトラさんは、旅から旅へと生きる自由人。 ふらりと現れては、ふらりと去っていく。 困っている人を見ると放っておけない。 けれど、自分のことはいつも後回し。 そんな生き方に憧れた人も多いのではないでしょうか。 子どもの頃は、 「変わったおじさんやなあ」 くらいに思っていました。 ところが年齢を重ねると、少し違うことが気になってきます。 あれだけ自由に生きた人が、もし80代、90代になったらどうなるのだろう。 今回は、そんなことを考えてみたいと思います。 なお、登場人物の名前は作品への敬意を込めつつ、あえてカタカナ表記にしています。 若い頃のトラさんなら問題ありません。 元気に旅をして、 好きな場所で暮らして、 好きな人に会いに行く。 それも素敵な人生です。 しかし、人は誰でも年を重ねます。 病院へ通うこともあるでしょう。 足腰が弱ることもあるでしょう。 そして、認知症とまではいかなくても、判断力が少しずつ低下することがあります。 銀行の手続き。 契約の見直し。 施設の入所。 病院とのやり取り。 昔は簡単だったことが、少しずつ難しくなっていくことがあります。 そこで登場するのが任意後見契約です。 任意後見契約とは、 将来、判断能力が低下したときに備えて、 「その時はこの人に手伝ってもらいます」 と元気なうちに決めておく制度です。 ここで大切なのは、 誰に頼むかを自分で決められることです。 家族でもいい。 甥や姪でもいい。 長年の友人でもいい。 専門職でもいい。 自分が信頼する人を選ぶことができます。 私はこの制度を説明するとき、 「人生の保険のようなものです」 とお話しすることがあります。 使わないかもしれない。 でも、準備しておくと安心。 そんな仕組みです。 さて、トラさんの場合を考えてみましょう。 もし兄妹も高齢になり、 親しい人たちも年を重ね、 自分も一人暮らしを続けていたら。 入院が必要になったら。 施設へ入ることになったら。 誰が病院と連絡を取るのでしょう。 誰が契約をするのでしょう。 誰が生活費を管理するのでしょう。 実は、こうした不安を抱える方は少なくありません。 昔に比べて家族の形は変わりました。 子どもがいない。 親族が遠方に住んでいる。 兄弟姉妹も高齢になっている。 そんなケースは珍しくありません。 そして最近増えているのが、 「元気なうちに準備しておきたい」 というご相談です。 これは決して後ろ向きな話ではありません。 むしろ逆です。 私は、自分の人生を自分で決めるための準備だと思っています。 さらに最近は、 任意後見契約だけでなく、 見守り契約や死後事務委任契約を組み合わせる方も増えています。 亡くなった後の役所手続き。 公共料金の解約。 家財の整理。 親しい方への連絡。 そうしたことを、あらかじめ託しておく仕組みです。 考えてみれば、トラさんは自由を愛した人です。 だからこそ、 最後まで自分らしく生きる準備も大切にしたのではないでしょうか。 誰にも迷惑をかけたくない。 自分のことは自分で決めたい。 そんな思いを持つ方は少なくありません。 けれど本当に大切なのは、 「迷惑をかけないこと」 ではなく、 「安心して頼れる仕組みを作ること」 なのかもしれません。 人生の後半には、 若い頃にはなかった課題が現れます。 しかし、準備できることもあります。 もしトラさんが私の相談者だったら、こうお伝えすると思います。 「旅支度と同じですよ。早めに荷物を整えておくと安心です」 と。 人生の終盤を考えることは、人生を諦めることではありません。 むしろ、最後まで自分らしく生きるための準備なのです。 薫子法律 のたりのたり アニメと映画と人生と、ときどき法律。 ※アニメや映画の世界と現実の法律は少し違います。本コラムは作品を楽しみながら法律を身近に感じていただくための読み物です。実際の法的判断は個別の事情によって異なります。任意後見や見守り契約、死後事務委任契約について気になることがありましたら、お気軽に専門家へご相談ください。 |
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