2025/11/4

おひとり様の安心──“自分の意思で生きる”ための仕組みづくり

おひとり様の安心──“自分の意思で生きる”ための仕組みづくり

人生の整え方シリーズ第8回は、「制度を整える」章です。
見守り、任意後見、死後事務委任。
むずかしい言葉に聞こえても、目的はひとつ──最後まで“自分の意思で生きる”ための安心づくりです。

◆ 見守りは「孤立を防ぐ仕組み」──カタチはいろいろ

見守りと一口にいっても、電話・訪問・センサー・駆けつけなど形はさまざま。
地域の社会福祉協議会やNPO、自治体の委託事業、警備会社や郵便局の民間サービスまで、選択肢が広がっています。
費用感の目安は、月1,000〜3,000円台のライトなプラン(自動電話やセンサー・緊急通報など)から、訪問型(月1回)で月2,000円前後のもの、警備会社の機器連動型で月2,000〜3,000円台+初期費用が一般的です。
大切なのは、「自分に合う頻度・方法・人の温度感」を選ぶこと。
暮らしの安心は“仕組み”と“関係性”の両輪で回ります。


※出典:日本郵便「みまもりサービス」/月額2,500円~など。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
※出典:ALSOK「みまもりサポート」/月額1,870円~。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}

◆ 見守り契約と任意後見は「役割」がちがう

見守り契約は、主に日常の安否確認・相談ごとの窓口づくり。対して、任意後見契約は将来、判断能力が低下したときに備え、財産管理や各種手続を代理で行える法的枠組みを、公正証書で定めておく契約です。
両者は競合ではなく補完関係にあります。
いまの暮らしを支えるのが見守り、もしものときに代理実行できるのが任意後見。
さらに死後事務委任契約で、葬送・役所届出・解約等の「最後の片づけ」まで委ねておけば、“生前〜死後”の切れ目ない安心が整います。

◆ こんな方は「今のうち」に整えておくと安心です

  • 配偶者や親族に頼りにくい/距離がある
  • 一人暮らし(または遠距離家族)で、意思決定を自分で管理しておきたい
  • 病気や入院、施設入所の可能性を現実的に見ておきたい
  • 趣味・資産・サブスク・デジタル遺品など、自分の基準で整理・承継したい

◆ “関係性の見守り”という選択肢

見守りは単なる生存確認では続きません。
人は、会話・文化・ユーモアがあると、暮らしに「前向きさ」が戻ってきます。
私自身、これまで電話や訪問での安否確認だけでなく、生活の困りごと、相隣関係の相談、愚痴や昔話の傾聴までお伴してきました。言葉は丁寧に、“大人としての尊厳”を保つことを大切にしています。
その延長として、“文化や音楽で寄り添う”見守りのかたちも構想しています。ピアノや歌、室内の小さなコンサート、楽器のアンサンブルやレッスンなど──
「老人扱いしない見守り」があっても良いのではないか。そう感じています。
※本サイトでは法務のご相談を中心に承ります。文化的な見守りの取り組みは、別途ご案内できるよう準備中です。

◆ 進め方:3つのステップ

  1. 棚卸し:いま頼れる人・機関、健康状態、資産・契約、デジタル情報を確認
  2. 選択:見守りの頻度・方法、任意後見の範囲、死後事務の要望を言語化
  3. 文書化:公正証書(任意後見・死後事務)+平時の連絡・相談ルールを文書で整備

◆ おわりに──“自分の意思で生きる準備”は、思いやり

おひとり様の安心は、自分への思いやりであり、周囲への思いやりでもあります。
制度はむずかしくて当然。けれど、一歩ずつ整えれば大丈夫。
ご自身のペースで、「自分の意思」を未来までつなぐ仕組みを整えていきましょう。


本章で扱った制度の詳しい選び方・費用感・よくある質問は、次回以降でやさしく解説します。
まずは「いまの不安」や「理想の暮らし像」を聞かせてください。
ご相談はこちら