2025/11/2

思い出と生きる暮らし──“笑顔のパワーをくれるもの”を選ぶ

思い出と生きる暮らし──“笑顔のパワーをくれるもの”を選ぶ

人生の再設計シリーズ第7回は、「思い出と生きる暮らし」をテーマにお届けします。
モノを減らすことよりも、“何を残して、どんな思いで生きていくか”。
大切なのは、思い出を「しまいこむ」ことではなく、「今と共に生かす」ことです。

◆ 思い出は、捨てるものではなく「選ぶ」もの

片づけの中でいちばん難しいのが、思い出のモノとの向き合い方かもしれません。
写真、手紙、贈り物──それらは過去の自分や大切な人との絆の証です。
けれど、すべてを残すことはできません。
だからこそ「捨てる」ではなく、「選ぶ」という発想を持ちましょう。
自分に“笑顔のパワー”をくれるものだけを、そばに置けばいいのです。

◆ 写真や手紙を整理する時間は、自分を振り返る時間

古いアルバムを開くと、その時の音や香りまで思い出すことがあります。
けれど時には、「なぜこれを取っておいたのだろう」と首をかしげる写真もあります。
そんなときは、無理に手放す必要もありません。
“いまの自分に必要かどうか”を感じ取るだけで十分。
整理の手は、心の奥に眠っていた記憶をやさしく呼び覚ましてくれます。

◆ 両親の遺したもの──私自身の体験から

私自身、若くして両親を見送り、しばらくはその遺したモノの中で暮らしていました。
母の着物、父の蔵書──どれも手放せずに。
けれど、思い切って少し整理をしたとき、不思議と新しい風が流れ込みました。
空間が軽くなると、心にも余白が生まれるのです。
いまは母の和服をいつか自分で着たいと思いながら、蔵書を少しずつ読み進めています。
思い出は、“過去に閉じ込めるもの”ではなく、“今を照らす灯り”なのだと感じます。

◆ 残すものは、「心があたたかくなるもの」だけでいい

手紙ひとつ、写真一枚にも、感情の温度があります。
見るたびに苦しくなるものは、感謝を込めて手放しても構いません。
逆に、笑顔が浮かぶものだけを残しておくと、暮らしそのものが明るくなります。
「ありがとう」の気持ちで整理すると、部屋も心もやさしく整っていきます。

◆ 思い出と共に生きる、ということ

私たちは、思い出の上に生きています。
それらを忘れようとする必要も、無理に新しく塗り替える必要もありません。
ただ、“いまの自分”と調和する形で、共に生きていけばいい。
モノを通じて、あの頃の想いを未来へつなぐこと。
それこそが、「思い出と生きる暮らし」なのだと思います。

思い出は過去のものではなく、
いまのあなたを照らす灯りです。
どうか“笑顔のパワーをくれるもの”を選び、
今の暮らしと共に歩んでいきましょう。


これで「整える暮らし」シリーズは完結です。
次回は、また新しい章──「おひとり様の安心」をテーマにお届けします。

 
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